菊芋のイヌリン含有率60%って
今日はちょっと辛口の記事を書きます。
独ベルリン工科大学の分析によると、菊芋粉末の成分の60%はイヌリンだそうです。
これは事実だと思うのですが・・・
ネット上では、菊芋の成分という見出しの直後に、独ベルリン工科大学析結果である「菊芋粉末」の成分を表示しているものがいくつかあります。
私の感覚では、「菊芋の成分」とは収穫した「生の菊芋」の成分だろうなと感じます。
水分が保持されている「生菊芋」と、乾燥させて加工を施した「菊芋粉末」は、成分が同一とはいえないのでは?
加工したものは、生のものとは成分比率も異なっているほうが自然かと。
菊芋粉末とは何かを十分認識して情報発信しているのかな?
菊芋粉末は、以下の手順で作るのが一般的です。
菊芋を収穫する。
→収穫した菊芋を洗浄・殺菌する。
→洗浄した菊芋をスライスする(切る)
→切った菊芋を乾燥させる
→乾燥させた菊芋を粉砕して粉にする
収穫した菊芋を乾燥させて粉砕した物が菊芋粉末です。
乾燥させますから、水分等が減ります。
自分の経験では、乾燥させた菊芋の重量は、乾燥前の6分の1くらいになります。
五訂食品成分表によると、菊芋の水分比率は約81%です。
乾燥させると水分がなくなりますし、乾燥や加熱殺菌で他の成分も減っても不自然ではありません。
その結果、成分におけるイヌリンの比率が高まります。
「乾燥させるとイヌリンが増加する」という表現も散見しますが・・・その論拠となるデータはなかなか発見できません・・・ ないのかも。
乾燥させると、当然のことながら水分等の比率が減少し、結果としてイヌリンの比率が高まるってのが適正なのかも。
ここで3つの「?」が生じています。
1)土の中で育つ菊芋の収穫後の「殺菌」は、どれくらい意識されているのだろう?
加熱殺菌したら、カリウムはどうなるでしょうか?
水分とカリウムが減ったら熱に強いイヌリンの比率は上がるでしょう。
2)収穫時期によるイヌリン含有量の違いはどの程度意識されているのだろう?
3)分析に使われた菊芋は、いつ収穫して乾燥→粉末化したものだろう?
菊芋の特性を十分把握して適正に表現してあるサイトもあります。
でも、そうでないサイトも目に付きます。
売るためには、買いたくなる表現が必要です。
売れないと栽培量が増えないのも現実ですから、買いたくなる表現をすることは、コンプライアンス上の問題がない範囲では当然だと思います。。
とはいえ、たどり着いたサイトのコンテンツを読んだ人が、正確とはいえない情報によって誤認識されないといいなと思います。
誤認識の結果、期待した成果が得られず、悲しい思いをされることがないといいなとも。
。。。過剰過ぎるムシがいい期待ではない範囲でではありますが。
菊芋が糖尿病治療薬の代替品になるかのような表現と、菊芋と菊芋粉末の違いとそれに伴う成分の違いが明確になっていない表現には危うさも感じます。
菊芋は、薬の代替品ではありません。
でも、高めの血糖値が気になる方におススメの野菜です。
なおかつ、遊休・放棄地対策に貢献できる可能性を秘めています。
でも、十分理解して愛情を注ぐ必要がある野菜です。